
少なくとも、科学雑誌「PLOSOne」(プロスワン)で最近発表された調査を引用したワシントン・ポスト紙の28日付の記事によると、米国の人種差別主義者たちは南部ジョージア州からニューヨーク州を経由して、北はバーモント州に至るアパラチア山脈沿いに集まっているようだ。
それにしても、「人種差別」という抽象的な概念をどうやって測るのか? そこではテクノロジーが役に立つ。この場合はグーグル検索だ。人種差別主義者たちがどこに住んでいるかを決定するために、この調査では、人々がインターネット上で人種差別的な言葉をどのくらい頻繁に検索するかに関するデータを使用した。
プロスワンに発表された調査では、「各地域の人種差別の度合いは全米の196の調査地域区分で『Nワード』(黒人を指す蔑視語)を含むグーグル検索の割合で示されている」。ワシントン・ポスト紙によると、この手法は意外に効果的だ。というのも、人々はネットで検索するときには、通常の社会的タブーに束縛されることなく、また、軽蔑を意図しないような場合には軽蔑的言葉の使用を避けようと試みるというのが理由だ。
米国での人種差別傾向を地図上で示すほかに、この調査で注目されるのは、人種差別的な検索の数と黒人の死亡率の相関関係が示されていることだ。この調査によると、「地域の人種差別傾向の標準偏差が1レベル上がるごとに、その調査地域区分の黒人の死亡率(全ての原因を含む)が8.2%(年間3万件以上の死亡件数に相当)上昇した」。
もちろん、「Nワード」を検索する人すべてが偏見を抱いているわけではない。また、この調査では、ヒスパニック系やアジア系に対する人種差別については識見が示されていない。ヒスパニック系やアジア系は米国での人種に関する議論で置き去りにされ、問題にされないことが多い。
もしこの地図から何かポジティブなことが読み取れるとすれば、思ったよりも人種差別的傾向は限定され、集中しているかもしれないということだ。
原文(英語):Wheredo racists in America live?