プリンター製ジェットエンジンですよ。
何?
プリンターというエンジンメーカーは聞いた事がないね。
誰か知っているかな?
新興メーカーか?
ホンダも自社製のジェットエンジンを開発し製造しているからな・・・
ナニナニ、プリンターというメーカーじゃないって。
3Dで製作したジェットエンジンだって!
燃焼室が溶けたりしないの?
完全3Dプリンター製!3万3000回転/分を達成した小型ジェットエンジン
Jun 15, 2015
一見するとおもちゃのようですが、実はこれも立派なジェットエンジン。
ふだんは航空機エンジンの製造技術研究に取り組んでいるGEのエンジニアたちが、
3Dプリンターで製作したものです。バックパックほどの大きさながら、
3万3000RPMの咆哮を聴かせてくれる「ホンモノ」なんです。

この、リュックサック大のジェットエンジンを製作したのは、
米国シンシナティ郊外にあるアディティブ・デベロップメント・センターで
働く技術者や機械工、エンジニアたち。彼らはふだん、GEアビエーションの
研究チームのひとつとして、アディティブ・マニュファクチャリング・テクノ
ロジー(積層造形/金属粉末を溶かして層状に重ね、複雑な3D構造を作る工法)
の開発に取り組んでいます。このエンジンは、テクノロジーのさらなる可能性
を試すため、チーム内のサイドプロジェクトとして、数年かけて作り上げたもの。

エンジニアのひとりはこう話しています。「アディティブ・マニュファクチャリングによる部品だけで本当に動く小型エンジンを作れるかどうか。確かめたかったんです。そりゃもう、楽しいサイドプロジェクトでしたよ」

今回のモデルでは、民間航空機のエンジンの複雑な機構を完全に再現すること
はできませんでした。
そのため、リモコン飛行機用のシンプルなエンジンを設計するプランに変更し、
そのパーツを3Dプリンターで製造できるようにカスタマ
イズしました。こうして完成した、長さ約30センチ・高さ約20センチの小型
エンジンは、通常フルスケールのエンジンの試運転で使用するテストセルに取
り付けて動作確認が行われました。

従来の工法では、大きな素材から削り出してパーツを作るのが一般的でした。
これに対して、アディティブ・マニュファクチャリングはレーザーを用いて
溶かした金属の薄い層を作り、それを下から積み重ねていくことで製造します。
この先進技術を活用することで、原料の廃棄量が減るとともに、より複雑な
形状のパーツを正確に製造でき、製品内部での最適な働きを実現します。

このチームは、航空機エンジンの部品製造において、アディティブ・マニュファクチャリングの大きな成果を挙げています。単通路型の商用航空機に搭載される
「LEAP」エンジン用の燃料ノズルは、アディティブ・マニュファクチャリング
で製造することを前提に設計・開発しました。いまGEは、この燃料ノズルを
搭載したLEAPエンジンのテストを行っています。そしてこの4月には「GE90」
エンジン用のパーツが、3Dプリンター製パーツとして初めて連邦航空局(FAA)
の承認を受けました。

GEアビエーションの広報担当、マット・ベンビーは次のように述べています。
必要な機械設備が少ないため開発スピードも向上しますし、モデルやアイデア
からそのまま部品製作に進むことができます。また、他の加工方法では製作で
きない形状を作り出すことも、可能ですからね」
この小型ジェットエンジンは現在アディティブ・デベロップメント・センター内
に展示しており、見る人を楽しませています。
画像:GEアビエーション