官民ファンドの産業革新機構がシャープの再建支援で、主力取引銀行のみずほ銀行と三菱東京UFJ銀行に、昨年6月取得した総額2000億円の優先株をほぼ無償で譲渡するよう求めていることが21日、分かった。
　シャープの財務状況を大幅に改善するのが狙いで、銀行には実質的な債権放棄となる。主力行には総額1500億円程度の追加金融支援も要請しており、負担が拡大する銀行と厳しい協議が予想される。
　優先株は、シャープの再建を支援するため、みずほ銀と三菱東京UFJ銀が融資した2000億円を株式に振り替える「債務の株式化」という手法で発行された。革新機構は主力行への支援要請に加え、シャープに対する3000億円規模の出資を検討している。月内にも支援策を固め、シャープや主力行と協議に入り、年度内に合意したい考えだ。
　シャープには、台湾の鴻海（ホンハイ）精密工業も6000億円強の支援を提案している。シャープ支援をめぐる競争は大詰めを迎える。