「2010年10月民主党菅直人首相はベトナムを訪問し、100万キロワットの原子炉2基の受注合意をした。…合意事項の中には、日本が原子炉から出る放射性物質や使用済み燃焼に対して処理に責任を持たなければならない内容が含まれている。日本国内でも解決できていない放射性廃棄物の問題を、国として責任をもって約束してしまったのである。また、ベトナムでは2008年に原子力法が国会で成立しており、これは日本の原子力損害賠償法と同様に、原発事故における責任と免責について決められた法律である。事故が起こった場合に、メーカーは責任を追及され、損害賠償を含む責任を取る可能性があると記されている。」
日本国外務省
アジアにおける平和と繁栄のため戦略的パートナーシップを
包括的に推進するための日越共同声明(仮訳)
平成22年10月31日
1 はじめに
菅直人日本国内閣総理大臣は,グエン・タン・ズン・ベトナム社会主義共和国首相の招待を受け,ハノイで開催されたASEAN関連首脳会議に続いて,2010年10月30日から31日までの間,ベトナムを公式訪問した。訪問中,菅直人内閣総理大臣はグエン・タン・ズン首相と日越首脳会談を実施した他,ノン・ドゥック・マイン・ベトナム共産党書記長及びグエン・ミン・チエット国家主席を表敬訪問した。
10月31日に行われた日越首脳会談においては,両首脳は,近年両国関係が著しく深化したことを歓迎するとともに,アジアの平和と繁栄のために日本とベトナムの間の戦略的パートナーシップを強力かつ更に包括的に一層発展させていくとの強い決意を共有した。
2・3・4省略
5 エネルギー,天然資源及び気候変動
両首脳は,エネルギー安全保障及び地球環境保全の観点から,原子力の平和的利用の分野における協力の重要性を確認した。両首脳は,核不拡散・保障措置,原子力安全や核セキュリティを,両国が締結している関連国際条約に従って確保する必要性を認識しつつ,原子力の平和的利用のための必要なインフラ整備を含む原子力分野の二国間協力を強化し,この分野での協力関係を新たな次元に高めることとした。両首脳は,日越間の原子力協定に関する交渉が実質的に妥結したことを歓迎し,同協定の可能な限り早期の署名への期待を表明した。
ベトナム側は,原子力の平和利用分野におけるベトナムに対する日本の継続的な支援を高く評価した。ベトナム側は,日本からの提案を検討した結果,ベトナム政府がニントゥアン省の原子力発電所第2サイトにおける2基の建設の協力パートナーに日本を選ぶことを決定した旨確認した。菅直人内閣総理大臣は,このベトナム政府の決定を歓迎し,この計画のフィージィビリティ・スタディの実施,同プロジェクトへの低金利の優遇的な貸付け,高い安全基準の下での最先端技術の利用,技術移転と人材育成,プロジェクトの全期間にわたる廃棄物処理における協力及び安定的な燃料供給等ベトナムが示した条件を充たすことを保証した。両首脳は,本プロジェクトの関連文書への早期署名に向け,両国の関連諸組織が協力して作業を続けるよう指示することで合意した。
ベトナム側は,鉱物資源,石炭,石油,天然ガス,石油備蓄,電力,省エネルギー,クリーン・エネルギー及び情報通信技術(ICT)分野における日本の協力を高く評価した。両首脳は,ベトナムにおけるレアアース資源産業の発展のため,日越共同での探査,人材育成,環境と両立する持続可能な資源開発のための技術協力及び共同研究開発を政府間ベースで促進することを確認した。グエン・タン・ズン首相は,ベトナムが同国におけるレアアースの探査,探鉱,開発及び分離・精製につき,日本をパートナーとすることを決定した旨表明した。菅直人内閣総理大臣は,この決定を歓迎し,両国によるレアアース開発が日本側の資金的・技術的支援等を通じて円滑に進展することを期待した。
6・7・8省略
両首脳は,森林分野の協力,海面上昇に対応するためのインフラ整備等,これまで気候変動分野において進められてきている二国間の協力を再確認した。また,両首脳は,この分野における協力を更に促進させるとの意思決定を確認した。両首脳は,省エネルギー,クリーン・エネルギー開発及び環境保全に関する先端技術が,環境と経済を両立させ,持続可能な成長を実現しながら気候変動問題に取り組む上で,極めて重要であることを確認した。両首脳は,二国間オフセット・クレジット制度の構築の可能性を含め,こうした目標の実現に向け,両国の関係機関に意見交換を行うことを指示することで一致した。
両首脳は,気候変動問題を解決する喫緊の必要性を認識するとともに,すべての主要国が参加する公平かつ実効性のある国際的枠組みを構築するため,両国が国際交渉において協力することを確認した。
両首脳は,日ASEAN,ASEAN+3及び東アジア首脳会議(EAS)等の既存の地域枠組みの促進において緊密に協力することの重要性を強調し,相互に関心を有する分野の協力を幅広く推進していく決意を再確認し,東アジア包括的経済連携(CEPEA)の研究や東アジアASEAN経済研究センター(ERIA)による効果的な貢献を含む,東アジアにおける地域統合に向けた取組を支援することを表明した。 両首脳は,安全保障理事会をより代表性,正統性及び実効性が備わったものにし,21世紀の国際社会の現実により適したものとなるよう,常任理事国及び非常任理事国枠の拡大を含む安全保障理事会の早期改革に向けた協力を進める決意を再確認した。グエン・タン・ズン首相は,日本が国連安全保障理事会常任理事国となることに対するベトナムの支持を再確認した。 両首脳は,2005年9月の六者会合共同声明及び関連の国連安保理決議に従った朝鮮半島の完全かつ検証可能な非核化に対する支持を再確認した。また,両首脳は,国際社会が有する人道上の懸念を解決することの重要性を強調した。 両首脳は,菅直人内閣総理大臣の初のベトナム公式訪問の成果につき,満足の意を表明するとともに,今回の公式訪問が日本とベトナム間の友好的かつ多面的な協力関係の新たな段階をひらいたとの認識で一致した。。
ハノイ,2010年10月31日- 菅直人
日本国内閣総理大臣 - グエン・タン・ズン
ベトナム社会主義共和国首相
両首脳は,日ASEAN,ASEAN+3及び東アジア首脳会議(EAS)等の既存の地域枠組みの促進において緊密に協力することの重要性を強調し,相互に関心を有する分野の協力を幅広く推進していく決意を再確認し,東アジア包括的経済連携(CEPEA)の研究や東アジアASEAN経済研究センター(ERIA)による効果的な貢献を含む,東アジアにおける地域統合に向けた取組を支援することを表明した。
両首脳は,安全保障理事会をより代表性,正統性及び実効性が備わったものにし,21世紀の国際社会の現実により適したものとなるよう,常任理事国及び非常任理事国枠の拡大を含む安全保障理事会の早期改革に向けた協力を進める決意を再確認した。グエン・タン・ズン首相は,日本が国連安全保障理事会常任理事国となることに対するベトナムの支持を再確認した。
両首脳は,2005年9月の六者会合共同声明及び関連の国連安保理決議に従った朝鮮半島の完全かつ検証可能な非核化に対する支持を再確認した。また,両首脳は,国際社会が有する人道上の懸念を解決することの重要性を強調した。
両首脳は,菅直人内閣総理大臣の初のベトナム公式訪問の成果につき,満足の意を表明するとともに,今回の公式訪問が日本とベトナム間の友好的かつ多面的な協力関係の新たな段階をひらいたとの認識で一致した。。
ハノイ,2010年10月31日
- 菅直人
日本国内閣総理大臣 - グエン・タン・ズン
ベトナム社会主義共和国首相