ワキ毛に陰毛、ホクロ毛まで!「ムダ毛」はなぜ生えるのか?
ムダ毛の処理って面倒ですよね。腕や足に毛が生えるのは仕方がないとしても、ワキやデリケートゾーン、さらにはホクロにまで生えるのはどうしてなのでしょうか?
その理由を探るべく、エステティシャン・しみず麗子さんにお話をうかがいました。
■ワキ毛はなぜ生えるの?
──体毛には体を守る役割があることは知っていますが、ワキに生える意味がわかりません。
「ワキ毛の存在意義には、リンパ節を守ったり、脇がこすれるのを防いだりする役割がありますが、もう一つ重要なのは『フェロモン説』。
ワキから出る汗にはフェロモンが含まれていて、それを効率的に拡散させるのがワキ毛の役割だという説です。
確かにワキ毛が生え始めるのは思春期、すなわち生殖能力を持ち始めるときですから、体がフェロモンを出して異性を引き寄せようとするのかもしれません」
──でも、ワキのニオイって、あまり良いニオイじゃない気が……。
「そうですね。皮脂などが汗と混じって、人間のもつ常在菌が繁殖することでニオイが出てきます。独特なニオイは、アポクリン腺からでる汗が原因のもと。
しかしヨーロッパの女性は、ワキの手入れをしない人が多いです。そもそもワキ毛を見苦しいと思わないのと、自分の体臭を大切にするからだとか。だから性行為の前にシャワーを浴びないのは普通らしいですよ」
──え~っ! 日本人には考えられないですね!!
■陰毛が生える理由と縮れている理由
──陰毛は陰部を守るために生えているのでしょうか?
「それもあると思いますが、前述のフェロモン説の方が有力だと私は思っています。
というのも、実は尿にもフェロモンが含まれていて、それを付着・拡散させるために陰毛が生えているという説があるのです。
動物同士が陰部をかぎ合うのを見たことがあるでしょう? あれは、陰部付近に付着した尿のニオイをかぎ合っていると考えられていて、ヒトの陰毛もその名残(なごり)だと思われます」
──陰毛にそんな役割があったとは驚きです。そういえば、ワキ毛も陰毛も縮れていますが、あれはなぜですか?
「毛が絡み合っていると、汗や尿が付着しやすく、蒸発しやすいからでしょう。芳香剤の上部によくフィルターがありますよね。あのフィルターは細かい繊維が絡み合ってできていて、それと同じ働きをしていると思われます。
ちなみに頭髪は断面が円形ですが、ワキ毛や陰毛の断面は絡みやすいように楕円(だえん)形をしているそうですよ」
──ムダにモジャモジャしている訳ではなかったのですね!!
■ホクロ毛はなぜ太くて長い?
──ホクロからニョロニョロっと長い毛が生えている人をたまに見かけます。
「ホクロはメラニン色素を作り出す細胞に近い『母斑細胞』が固まった良性の腫瘍(しゅよう)であることが多く、メラニン色素の生成が活発なので、黒くて太くて長い毛が生えることがあるんです。悪性の場合は生えないので、ニョロニョロっと毛が生えたホクロは安心と考えて良いでしょう」
──とはいえ、ホクロ毛ってあまりステキじゃないですよね。抜いても問題ありませんか?
「無理に抜いたりそったりすると、それが刺激になって悪性の腫瘍(しゅよう)に変化することがありますから、やめましょう。気になるなら短くカットするか、ホクロ除去手術を受けることをおすすめします」
──最後に、中国ではホクロ毛を大事にする習慣があるそうですが、それはなぜですか?
「縁起が良いと考えられているからでしょう。私も、毛の生えたホクロが描かれた中国のお面を見たことがあります。中国だけでなくシンガポールやドイツ、また日本にも、ホクロ毛は福を呼ぶと考えている人がいますよ」
──私もホクロ毛が生えてきたら、大切に育ててみます!
ムダ毛と呼ばれている毛たちも、実はムダではなかったのですね。乱暴に抜いたりそったりせず、優しく扱ってあげましょう。
●しみず麗子
OL時代に体調を崩したことがきっかけでエステに興味をもつ。エステサロンの店舗経営やエステティシャンとして活動後、現在はオプティマルヘルスセラピストとして活躍中。
(OFFICE-SANGA 百田カンナ)