遠くて近きは男女の仲
遠くで見るからキレイ?だなって思える。
近づいて見たら化け物ですか?って言いそうです。
<新体操1>15メートル先にいる審判にアピール! フェアリーメイクを体験
アスリートは競技をしている間、どんなメイクをしているのでしょうか。
すごく汗をかいているはずなのに、化粧が落ちてべとべとになっている姿はあまり見かけません。何か特別な方法があるのでしょうか。新体操日本代表「フェアリージャパン」をサポートする化粧品大手の「ポーラ」(東京)に行ってみました。
新体操日本代表の「美容コーチ」である宮田舞さんと田中琴乃さんにお話を聞きました。美容コーチは、日本代表のメイクのコンセプトを考えたり、選手に指導したりするために、ポーラ社内から選ばれた6人の美のエキスパート。宮田さんは、現地に行き、選手をサポートする予定だそうです。田中さんは、前回のロンドン五輪の主将で、元選手という立場を生かし、精神面からも選手を支えているプロフェッショナルです。
- 美容コーチ・田中琴乃さん。北京とロンドン五輪出場。ロンドン五輪では主将を務めました
- 美容コーチ・宮田舞さん
ポイントはアイメイク
リオ五輪のフェアリージャパンのメイクの基本コンセプトは「崩れない、目力、立体感」。汗をかいても崩れないこと、選手全員の統一感、15メートル以上離れた審判員や客席から見てもインパクトがあることを意識したそうです。
一番のポイントは、アイメイク。目尻に妖精の羽のような曲線をアイライナーで描き、目力を強調する「フェアリーライン」と、目の大きさの個人差を修整するために、上まぶたにまでアイラインを描く「ダブルアイライン」が大きな特徴です。
日常のメイクと新体操のメイクの違いは?
- 使用するメイク道具
見た目だけでなく、新体操選手のメイクは、化粧の仕方も違うそうです。
普段のメイクに求められる「付け心地の良さ」よりも、汗をかいても崩れない「落ちにくさ」や、遠くからでもぱっと色がわかる「発色の良さ」が重視されます。
普通は化粧下地をつけてからファンデーションを塗りますが、新体操選手は肌に直接ファンデーションを塗ります。肌にのせるものが多いほど、メイクは崩れやすくなるからです。皮脂が多く、化粧崩れしやすい選手は乳液も使わず、化粧水を付けてすぐにファンデーションを塗ってもらいます。メイク崩れ対策は油分をどれだけ抑えられるか、がポイントなんです。
華やかで爽やかに見える新体操競技ですが、実際は、とても汗をかく2分30秒の有酸素運動。練習は1日8~9時間くらいするので、本当に汗だくになるとか。その汗で崩れないものを、用意しなければなりません。
美容コーチはメイク道だけでなく、汗の拭き方も指導しているそうです。若い選手はけっこうゴシゴシと顔を拭いてしまい、メイクが落ちてしまう場合も。汗をふくときは、顔面の皮脂を押さえるようにそっと拭くのがコツのようです。
実際にメイクを受けてみる
- 夜勤明けで、ぼんやりとした顔の小町スタッフ
- アイホールのベースはブルー。これにパープルとゴールドのパウダーをのせた後、アイラインを描いていきます
- アイメイク終了。目の大きさが変わりました
それでは、メイクをしてもらいましょう!
まずは、アイメイクからスタートします。アイベースはブルー。いろんな色を試しましたが、日本人のまぶたは腫れぼったいので、すっきり見せるブルーが選ばれました。ベースは練り状のものを使い、その上に粉状のアイカラーを重ねます。色はパープルとゴールド。これは、もちろん金メダル獲得の願いが込められています!
団体はそろったときの美しさ、曲調に合うものを提案する必要があり、コーチの意向なども取り入れて開発していきました。個人戦は選手の顔立ちに合ったものを提案しています。
次に、目力の決め手のアイライン。最初は目の際、次に上まぶた全体にパウダーを塗ります。
そしてついに、「フェアリーライン」を入れていきます。小町スタッフ自身は目をつぶっていて、まぶたの上にメイクされている感覚があったのですが、今までまぶたの上まで何かラインを引かれるとか、そのようなことはなかったのでびっくりしました。まぶたの上に、まつ毛ができたようなイメージです。
上まぶたのメイクが終了したら、目の下もメイクしていきます。小町スタッフの場合は、1本ラインを引きました。
それからローズのチークを頬全体に入れ、仕上げにリップを塗ります。
リップは日本の国旗をイメージした「ジャパニーズレッド」です。発色が良く艶があります。
メイク、完成!
- リップも塗り、フェアリーメイク完成。最初と比べると、表情豊か。口角が上がり、夜勤明けとは思えない見た目になりました
メイクが出来上がりました。ここで初めて、小町スタッフは自分の顔を見たところ……。
「濃い!」
普段自分でしているメイクと違って濃くて、舞台女優さんのようなメイクでただただびっくりでした。
しかし普段の自分と違うメイクだと、不思議と「何だか自分、足が上がるんじゃないか。新体操ができちゃうんじゃないか」と勘違いしそうになります。これを宮田さんと田中さんに伝えると「それが大事なんです」とおっしゃいました。メイクをすると気持ちが強くなります。これが本当に選手には必要なことだそうです。本番で、ちょっとでも不安な気持ちを持っていると失敗につながってしまいます。なので、強い気持ちを持つ、その力となるメイクは本当に重要なのだそう。
確かに、女性はメイクひとつで気分がガラリと変わりますもんね。
こういったメイクは、選手やコーチに提案する3~4か月前からアイデアを出して決めていくそうです。例えば、汗にどれだけ強いか調べるために、メイクした状態でお風呂に入って検証することもあるそう。次回は、美容コーチたちがどういうサポートを選手にしているのか、お伝えします。