【ハノイ＝沢田大典】ベトナムの首都・ハノイを訪問中の自民党の二階俊博幹事長は１０日午前（日本時間午後）、記者団の取材に応じ、政府が臨時国会（２６日）に提出を検討している「共謀罪」の構成要件を一部変更した組織犯罪処罰法改正案について「ただちに今国会で決めねばならないかといえば、慎重に、まだまだ時間がある」と述べ、臨時国会での成立にこだわらない姿勢をにじませた。改正案に慎重な公明党などに配慮したとみられる。

　同法案は４年後の東京五輪のテロ対策が主眼で、二階氏は「五輪を控え、あらゆる面で万全を期すなら、必要性はおのずとクローズアップされる」と意義を強調した。

　保守分裂が懸念されている東京都の小池百合子知事の議員失職に伴う衆院東京１０区と、鳩山邦夫元総務相の死去に伴う福岡６区の両補欠選挙については「勝つ選挙をするために、いい候補を選ぶ」と述べた。公認候補の選考基準については「小選挙区制度だから、小選挙区のみなさんに第一義的な責任は担っていただく。その次は県連、都連だ」と語った。

　東京１０区は小池氏に近い若狭勝衆院議員が出馬の意向を表明し、都連は反発。福岡６区は邦夫氏の次男で前福岡県大川市長の二郎氏が出馬を表明し、県連は蔵内勇夫県連会長の長男、謙氏の公認を党本部に申請している。二階氏の発言には、世論調査などをもとに一本化したい考えがにじむ。

　空白となっている衆院憲法審査会長の人事をめぐっては、二階氏は「谷垣禎一前幹事長を充てるという意見を耳にしないわけではないが、誰で臨むかというところまできていない。空白のままにしているわけにいかないから、一定のところで判断したい」と述べるにとどめた。