2015.3.17 15:00
【日本千思万考】米国が中韓の不当な「歴史戦」に荷担するワケ…「軍国日本=悪」論で自国の「国際法違反」を正当化
戦災で焦土と化した東京。米軍による無差別爆撃をめぐっては、米国内にも「国際法違反」との論議がある(米軍撮影、産経新聞社所有)中韓問題は米国の問題でもある
日本を貶める「歴史戦」と対峙するにあたって、忘れてならないのは、アメリカと国連の存在です。
この問題を単に中韓両国の反日政治活動と断じてしまうのは明らかな誤謬です。中韓は女性の人権問題と絡めた巧妙なプロパガンダにより、“戦勝陣営の米国と国連”を抱き込んだこと、そして、戦敗国日本がGHQ占領政策を過剰に引き継いできた左翼リベラリストのくびきに縛られたかのような弱腰外交を繰り返し、正鵠を得た発言もせず、特に米国や国連に対する意見表明を避けてしまったことが、大いなる問題点だと思量します。
欧米の「植民地化」と日本の「満州・朝鮮・台湾併合」は違う-の論議
米国内の良識派や国際世論には、「米国が原爆投下や首都圏無差別爆撃などによって非戦闘員の日本人を大量焼殺したことは、国際法違反であった」という論議があり、一方では、主としてアジア発で「日本による満州、朝鮮半島、台湾の併合(Annexation)が、当時欧米がアジア・アフリカで展開した植民地化(Colonization)とは異なっていた証拠に、日本はこれら併合地に本国と同一の法を適用し、物的・制度的・人的インフラ整備と教育振興を実行し、大いに経済力と文化民度を上げてくれた」という論議がありました。
そういえば、日本は第一次大戦後のパリ講和会議で、人種差別撤廃を提案した唯一の有色民族国家でした。この提案は11対5で採決されましたが、奴隷制の歴史を抱えて反対だった米国ウイルソン大統領が無謀な議長特権を行使、全会一致でないとして、この決議を葬ったとされています。
ちなみに、日本の満州、朝鮮、台湾「併合」は国際法に則り、列強諸国の承認を受けたもので、それまでの欧米によるアジア・アフリカ諸国への一方的な「植民地化」とは全く異なるものでした。日本の史上には対内対外とも、奴隷制度がなかったことを、国民はもっと誇りに思っていいでしょう。
第二次大戦後に話を戻すと、「日本は負けこそしたが、アジアからすべての植民地を排除してくれた」とのアジア発の諸論評が相次いだことから、米国の政治家や大戦勝利肯定派には、何としても「軍国日本は悪であった」という論議に乗ることで、自国の国際法違反を正当化する必要性もあったわけです。
その後も、マッカーサーによる「大東亜戦争(米は太平洋戦争)は日本の自衛戦であった」という議会証言がありました。欧米の史家や学識者には、少数ながらも、「日本がアジアを侵略した-というのは、植民地を失った欧米による史実を直視しない作為的な論議であって、日本による併合の仕方に鑑みても、戦前からの主張に見るごとく、“有色民族に対する白人支配からの解放戦”とみる方が妥当である」といった論評もあったようです。
確かに帝国主義・軍国主義日本にも一抹の反省点はあるにせよ、少なくとも、「植民地化侵略戦」ではなかったことは自覚しておくべきでしょう。
内外の“桃太郎”を支援すべし
もう一点、とても大事な点に触れておきます。日本の対外発信力を強化するためには、政治外交分野はもちろん、英語も日本語も達者なジャーナリストや学識評論家、文化人を多く徴用ないしは支援するべきで、日本のことを正しく評価してくれるフリーの外国人ジャーナリストや弁護士、学者、評論家には、日ごろからコンタクトを取り、情報の受発信をスムースにしておくべきだと考えます。
ちなみに、こうした外国人には、米国人のマイケル・ヨン(ジャーナリスト)、トニー・マラーノ(評論家)、ケント・ギルバート(弁護士)諸氏や、英国出身在日ジャーナリストのヘンリー・ストークスの各氏らがいます。「史実を世界に発信する会」(加瀬英明代表、茂木弘道事務局長ほか、各界の有識者多数が委員、顧問をされています)のような地道な民間事業団体もあります。
特に、ヨン氏は、このところ、米国主要紙誌への寄稿と連邦・地方議会への積極的な働きかけで、日本にとっては、まさに桃太郎というか、正義の味方を独演してくれており、彼らを協力支援するべきです。
朝日は誤った記事すべてを撤回・訂正し、日本人に謝罪せよ
併せて、アメリカにおける「Interagency Working Group」の調査報告書に鋭意着目して史実を露わにしてほしいものです。
これは、米国の抗日華人ロビー団体が焚き付け、日本の戦争犯罪の実態を調査(移民局、FBI、CIAなど全米省庁を巻き込んだ大調査)したもので、2007年春、米議会に提出されました。そこでは「慰安婦強制連行」や「性奴隷」の証拠は何一つ見つけられなかったようです。
にもかかわらず(中韓が不利な史実から目を背けたのはともかくも)、自国を守るべき、日本の政府・外務省・ジャーナリズムの大半が、その後も「強制連行された」「従軍慰安婦-性奴隷」という虚妄を排除せず、受容を積み重ねてきたことは理解に苦しみます。中でも朝日新聞と英語発信紙の代表格のジャパン・タイムズ紙は今こそ反省し、国際社会へ向けて「誤った記事すべての撤回と訂正」をし、誹謗中傷にさらされてきた「日本人に謝罪」を発信してもらいたいものです。
チャーチルの名言「決して逃げてはならぬ」の姿勢は日本にこそ必要
この際、周辺国の執拗な言いがかりと米国による戦敗国制裁のくびきに屈せず、捻じ曲げられた史実をただし、身に覚えなき冤罪を晴らし、未来志向の平和主義、人道優先の日本国を世界へ向けて堂々と主張していかねばなりません。
そして、極東軍事裁判(東京裁判)の国際法違反、不公正を自ら検証し、反省している連合国側の多くの重鎮たち(東京裁判当事者だったウェブ東京裁判長、パール・インド代表判事、レーリング・オランダ代表判事、ブレイクニー弁護士をはじめ、フーバー米大統領、プライス米陸軍法務官、ビアード史家、およびリトルトン英軍需生産大臣)らの発言内容をよく吟味することで、戦後日本人が陥った「東京裁判史観に基づく自虐思考」から脱皮すべきだと思います。
すなわち、日本を取り巻く不当な歴史戦という現実に立ち向かうには、われわれ日本人政官民がもっと歴史の真相を見極め、普遍的価値に基づき守るべき伝統と価値観を海外へ向けて堂々と発信し続けることが肝要です。
結びに、チャーチルの名言を引用しておきます。
「迫りくる危険に背を向けて、それから逃げ出すべきではない。それをすれば危険は2倍になる。それに素早く敢然と立ち向かえば危険は半分に減るだろう。何ごとに出合っても、決して、決して逃げるな」
(上田和男)
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【プロフィル】上田和男(こうだ・かずお) 昭和14(1939)年、兵庫県淡路島生まれ。37年、慶応大経済学部卒業後、住友金属工業(鋼管部門)に入社。米シラキュース経営大学院(MBA)に留学後、45年に大手電子部品メーカー、TDKに転職。米国支社総支配人としてカセット世界一達成に貢献し、57年、同社の米ウォールストリート上場を支援した。その後、ジョンソン常務などを経て、平成8(1996)年カナダへ亘り、住宅製造販売会社の社長を勤め、25年7月に引退、帰国。現在、コンサルティング会社、EKKの特別顧問。